2017.5.6

首都圏から被災地「ふくしま」を知り、エネルギー需給のあり方について考える ~福島さくらツアー 2017~ 

レポート

▶︎レポーター

高崎 大輔(たかさき だいすけ)  人環5期  校友会 人間環境学部同窓会 副会長

【報告】 首都圏から被災地「ふくしま」を知り、エネルギー需給のあり方について考える
~福島さくらツアー 2017~

4月8日(土)から1泊2日で人環卒業生、現役学生ほか合計11名で福島県いわき市ほかへ視察に行ってまいりました。

1日目は、いわき市沿岸部、広野町、楢葉町、過日3月31日に避難解除された浪江町、4月1日に避難解除された富岡町、現在も帰還困難区域となる大熊町、双葉町を訪問。

今年の開花は例年より遅く、目的の一つであった夜ノ森(富岡町)の“桜トンネル”を見ることはできませんでしたが、避難指示が解除された直後の週末であった影響もあり、花見に来られる方、帰還された方、これからの帰還に向け準備に来られた方、除染や修繕等の作業員などいつもより多くの人が見られ、復興の現状を肌で感じとることができました。また避難指示解除されたものの、避難先や家庭等の多様複雑な事情を抱え容易に帰還ができない現実を現地の方から伺うこともできました。

富岡町では平田雅之さん(学部3年)の操縦によりドローン(無人航空機)から帰還困難区域等を撮影し、夜な夜な映像を見ながら今後のまちづくりや帰還に向けた方策について話し合いをしました。

6年ぶりに開催された桜祭り会場から数百m先に施された帰還困難区域の標識と格子。

JR常磐線夜ノ森駅近くの線路土手は、かつてツツジの名所でしたが、すべて除染のため刈りとられてしまいました。

浪江町と南相馬市の境界にある「吉沢牧場」では、原発事故後、約300頭の肉牛が飼われています。

広野工業団地で食用プラ容器を製造する大丸化工(株)では、震災当時の工場の様子をスライドで伺いました。

二日目は、2011年4月11日(3.11からひと月後)、いわき市内陸部を襲った直下型地震により生じた「地表断層(井戸沢断層)」を視察しにいわき市田人町を訪ねました。断層から50mほど近くに住む斉藤さんを訪ね、当時の状況について話を伺いました。この軒先を、断層を見に来る専門家、一般観光客、取材の方々へ休憩場として提供されていて、この日も震災当時の話に留まらず、農村での暮らしやこの集落へお嫁に来られた当時の思い出話などで盛り上がりました。

いわき市の新たな観光資源となるのでしょうか。田人町に発生した「地表断層」。

薪ストーブを囲み、いつも元気で明るい斉藤さんとおしゃべりで盛り上がりました。

最後は、このツアーの復習とすべく「石炭・化石館(「ほるる」)」でかつて栄えた常磐炭鉱の歴史やその町の様子について勉強しました。

東日本大震災や原発事故により被災された福島県浜通り地方は、これまで首都圏の経済発展に石炭および電力供給により貢献してきました。震災以降は、復興の象徴としてメガソーラー発電など再生可能エネルギーの設置が町中に多く見られます。この動向が雇用など経済活動や温暖化対策等へどのように影響していくのか、また一方避難指示解除になった地域、これから避難指示が解除される地域の変化にも注目していきたいです。

このツアーは春と秋を目途に開催する予定です。次回も同窓会メンバーを中心に募集をいたしますので、引き続きご参加をよろしくお願いします。

宿泊でお世話になった「古滝屋」の前で集合写真を撮りました。

福島民友新聞社から取材を受けることになり、翌日朝刊に掲載していただきました。